借地権の売却は通常の不動産売買と手続きが異なっていたり、借地権特有の注意点があったりします。
借地権を売却するときにどのような手続きや注意点があるのか理解しておくことで、スムーズな借地権売却を進めていけます。
本記事では借地権を売却するときの流れや、高く売却するため・スムーズに売却するためのコツを解説していきますので、借地権の売買を考えている人はぜひ参考にしてください。
借地権を売却するときの流れ
借地権は売却できる権利ですが、売却するには通常の不動産と違う手順が必要です。
借地権を売却するときの流れは、次のとおりです。
- 売却方法を決定する
- 地主からの承諾を得る
- 借地権売却に慣れている不動産会社に依頼する
借地権を売却するときには流れの詳細を把握しておかないと、売却金額が安くなってしまったりトラブルに巻き込まれてしまったりします。
スムーズに借地権を売却できるよう、借地権を売却するときの流れはしっかりと理解しておきましょう。
売却方法を決定する
借地権の売却をするときには、まずどのように売却するのかを決めます。
借地権は基本的に一般の人が購入してくれる権利ではないため、第三者に向けて販売するだけでは売れないケースもあります。
そのため、どのような売却方法があるのか理解したうえで、所有している借地権をどのような人が購入するか見定めなければいけません。
借地権の売却方法は一般的に3つの方法があり、どの方法で売却していくのか選択します。
3つの売却方法とは、次のとおりです。
- 地主に買い取ってもらう
- 第三者に売却する
- 買い取り業者に売却する
それでは、借地権の売却方法の内容を見ていきましょう。
【地主に買い取ってもらう】
借地権の買主は第三者だけでなく地主も対象となるため、地主に借地権を購入してもらえないかを検討しましょう。
地代が安定して入るため借地権をそのままにしたい地主もいるかもしれませんが、借地権を設定した土地は、地主でも自由に使えないため借地権を解除したいと考えている地主もいます。
借地権は原則途中解約を申し出ることができないため、地主は土地を使いたくても貸し続けなければいけません。
しかし、借地権を買い取ることができれば、借地権を解除することができます。
もし地主が土地を自分で使いたいと考えているのであれば借地権の購入に応じてくれるかもしれないため、地主に借地権の売却の相談をすることを検討しましょう。
【第三者に売却する】
地主が借地権の購入に応じてくれない場合、不動産会社を通して第三者に売却することを検討しましょう。
ただし、借地権はなかなか第三者が購入してくれることはなく、次のような条件が揃っていないと難しいと考えておきましょう。
- まだ借地権の期間がかなり残っており建物も新しい
- 建物が住宅であり住宅としての需要がかなり高い地域にある
- 借地上の建物が賃貸物件で投資として成り立つ売値を設定している など
借地権は所有権と違い土地を自由に使うことはできず、建物の大規模修繕したりするときには制限がかかります。
そのため、一般の第三者はなかなか手を出しにくく、売却に時間がかかります。
借地権を第三者に売却するときには、必ず借地権を専門に扱っている不動産会社に相談して進めていくようにしましょう。
【買い取り業者に売却する】
第三者に売却するか検討しているときには、同時に買い取り業者への売却も検討しましょう。
借地権は一般の第三者に売却するときには時間がかかるケースも多いため、売れないときに備えて買い取り業者から買い取りの価格を聞いておきましょう。
買い取り価格が思ったよりも高い場合はすぐに売却し、そこまで高くなかった場合にはまず一般の第三者に向けて売却活動をおこなうことをおすすめします。
そして、一般の第三者に向けてなかなか売れないときには、事前に買い取り業者から聞いていた買い取り価格で売却します。
地主からの承諾を得る
借地権の売却方法の方針を決めたら、次の地主から譲渡の承諾を取得します。
借地権を売却するときには借地借家法により譲渡の承諾を取得しなければいけないと定められており、借地権設定契約の内容にも承諾の譲渡が必要であることが記載されています。
そのため、譲渡の承諾を取得せず、無断で借地権を売却してしまうと契約違反になるため注意しましょう。
借地権の譲渡の承諾を取得するには、承諾の交渉とともに譲渡の承諾料の交渉もしなければいけません。
専門的な知識のないまま地主と交渉してしまうと、承諾が得られないなどの状況になってしまうケースがあります。
どちらの交渉にも借地権の専門的な知識が必要になるため、不動産会社に交渉を依頼することをおすすめします。
借地権売却に慣れている不動産会社に依頼する
地主から譲渡の承諾が得られたら、不動産会社に売却を依頼します。
地主との交渉をすでに不動産会社に任せている場合は、交渉を依頼した不動産会社に売却も任せます。
借地権の売却をするときには、借地権についての知識や手続きが必要です。
借地権を取り扱っていない不動産会社では、地主や買い手との交渉すらできない危険性があるため借地権専門の不動産会社に売却を依頼しましょう。
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借地権を相場よりも高く売るためのコツ
借地権を高く売るためには、コツを押さえて売却を始める必要があります。
借地権を相場よりも高く売るためのコツは、次のとおりです。
- 借地権と底地権を同時に売る
- 借地権を地主に買い取ってもらう
借地権は売却するのに時間がかかったり、なかなか高く売れなかったりするケースもありますが、高く売るためのコツを押さえておけば相場よりも高く売れることがあります。
どのようなコツを押さえればよいのか把握し、借地権の高値売却を実現していきましょう。
借地権と底地を同時に売る
「借地権」と「底地権」を同時に売却できれば買い手は多くなり、売買金額も高くなります。
借地権と底地権を同時に購入できるということは、買い手にとっては「所有権」を手に入れるのと同じ意味になります。
そのため、借地権の売買価格ではなく、所有権の売買価格で借地権を売却することが可能です。
ただし、借地権と底地権を同時に売却するためには地主の協力が不可欠であり、地主との打ち合わせを重ねていかなければいけません。
買い手とも話し合いをしていく必要があり、高度な不動産知識が必要であるため、借地権と底地権を同時に売却するときには必ず不動産会社に交渉を任せましょう。
借地権を地主に買い取ってもらう
借地権を地主に買い取ってもらう場合も、借地権を高く売るチャンスです。
地主が借地権の購入を検討してくれるということは、地主は土地を何かしらの理由で使いたいと考えているときです。
使う予定があれば、地主は借地権を相場より高く購入してくれる可能性が高くなります。
基本的に交渉は不動産会社に任せますが、自分で地主と交渉するときには引っ越し代などの一部費用を借地権の相場に上乗せして交渉してみましょう。
多少相場より高い程度の交渉であれば、地主が承諾してくれる可能性もあります。
借地権を売却するためのコツは?
借地権をスムーズに売却するには、高値売却と同じくコツを押さえておかなければいけません。
借地権をスムーズに売却するためのコツは、次のとおりです。
- 地主と良好な関係を保っておく
- 借地権売却の実績が豊富な不動産会社に依頼する
借地権を売却するには、地主との関係性が重要になります。
借地権を売却する可能性があるなら、スムーズに売却するためのコツを知っておきましょう。
地主と良好な関係を保っておく
借地権を売却するときにもっとも大切なのは、地主と良好な関係を築けているかどうかです。
借地権を売却するには地主の譲渡の承諾が必要になりますが、関係が良好でないと承諾してくれないこともあります。
また、承諾を取得する交渉や、地主が借地権をいくらで買い取るのかを交渉する際にも、関係が良好かどうかで進展具合や結果が変わります。
地主との関係を良好に保つには、こまめな相談やあいさつなどを欠かさずおこなうことが大切です。
借地権売却の実績が豊富な不動産会社に依頼する
借地権売却の実績が豊富な不動産会社に依頼すれば、地主との交渉がスムーズに進み借地権の売却が上手くいきます。
借地権の権利関係は非常に複雑で交渉するのが難しく、一般の不動産会社ですらスムーズな交渉をするのは困難です。
そのため、専門的に借地権を売買している不動産会社に売却を依頼する必要があります。
譲渡の承諾や承諾料などの交渉は、借地権売買特有のやりとりであるため、借地権売買を専門にしている不動産会社に売却を依頼しましょう。
借地権売却でよくある質問
借地権は専門性の高い権利であるため、売却時には悩みや疑問が多く発生してしまいます。
借地権売却でよくある質問は、次のとおりです。
- 地主が売却に承諾してくれないときは?
- 更新時期の借地権は売却できない?
借地権売却時にありがちな悩みや疑問を理解し、借地権を売却していきましょう。
地主が売却に承諾してくれないときは?
借地権売却時に地主が承諾をしてくれないときには、裁判所を利用して地主の代わりに売却の許可の取得が可能です。
裁判所に対して地主の承諾に代わる許可を求めることを「借地非訟」と呼びます。
借地非訟を起こすには裁判所に必要書類を提出し、裁判所で傍聴人がいない裁判のような手続きを経て裁判所が許可を出すか判断します。
売却することに正当な事由がない場合、売却の許可が出ないケースもあるのには注意しましょう。
提出書類の中には、一般個人では書けないような内容も含まれているため、通常は借地権を専門にしている不動産会社に依頼します。
依頼する会社によって許可が取得できるかなどの結果が変わることもあるため、信頼できる不動産会社に依頼するようにしましょう。
更新時期の借地権は売却できない?
結論から言うと、更新時期に近づいている借地権でも売却できますが、売却は困難だと考えておくほうがよいでしょう。
売却が困難な理由の1つが、「地主が売却の承諾をしてくれない」ということが挙げられます。
借地権の更新時期が迫っているのであれば、少し待つだけで借地権がなくなり地主は土地を自由に利用できるようになります。
そのため、譲渡の承諾をするデメリットが大きくなってしまうため、譲渡の承諾をしないわけです。
また、借地権の更新期限が迫っている場合、借地非訟を起こしても裁判所から許可が取得しにくくなってしまいます。
少しの時間の経過を待てば、借地権がなくなるという大きな利益が地主に発生します。
しかし、借地非訟を起こすことで借地権が継続されてしまい地主に発生する利益がなくなってしまい、借地人の権利濫用と判断されやすくなり許可が出にくくなるということです。
そして、2つ目の理由としては、一般の第三者は借地権の更新期限が迫っている「短い期間の借地権」を購入することにメリットはありません。
そのため、更新期限が迫っている借地権の売却は、かなり難しいと考えておきましょう。
更新時期の借地権をどうしても売却したい場合は、不動産会社に買い取りしてもらうことをおすすめします。
不動産会社であれば更新期限が迫っている借地権でも購入してくれるケースもあるため、一度相談してみましょう。
借地権売却時には借地権専門の不動産会社に相談しよう
借地権を売却するときには、地主から譲渡の承諾を取得しなければいけません。
地主の承諾を得るには交渉が必要であり、交渉するには借地権の専門的な知識が必要です。
一般の個人が交渉するのは難しいため、借地権を専門にしている不動産会社に任せましょう。
また、借地権の交渉をしやすくするためにも、地主との関係を良好に保っておくことも重要です。
関係を保つのは、「借地人しかできないこと」であるため、地主とこまめに連絡しあうなどの関係を作り、借地権を売却するときに承諾を取得できるようにしておきましょう。